7月18日、参議院議員会館で「高専」について現役職員や研究者、文部科学省の関係者らが議論する「第2回国会高専人会」が開催され、「高専(本科)卒業生への学位授与」などについて議論されました。
高等専門学校、いわゆる「高専」は普通科の高等学校や4年制大学と異なり、5年間で知識と技術を身につける教育機関です。
高専を5年間で卒業すると「準学士」が付与されますが、これは“称号“で、国際基準の正式な “学位“ではありません。
高専生は日頃から先進的な技術や知識に触れており、次世代を担う人材だとして近年国内でも注目が集まっていますが、5年制の本科を卒業すると“学位が付与されない“ことにより、卒業後の国際的な活躍が阻まれるケースもあるといいます。
例えば、アジアや欧州で知的労働や研究をする場合、VISA発給に「学位」が必要となり、就職・就業できないことが挙げられます。
また、国内でも就職時に学位がないことを理由に、短大卒の「短期大学士」を授与された学生より就職条件が悪くなるケースも。
高専生の中には大学へ進学する人や、「専攻科」と呼ばれる2年制の学科へ進学し学位を取得する人もいます。もちろん「学びたい」という純粋な動機で進学する人が大半ですが、こうした就職の影響もあって進学する場合もあるそう。
実際は、5年間で非常に高度かつ専門的な知識を身につけており、高専OBに適切な評価がされていないのではないかとの声が根強くあります。
一方で、日本の魅力的な高専システムを「KOSEN」として取り入れたモンゴルでは「短期大学卒と同等の学位=短期大学士」が付与されています。これは「KOSEN」がタイの大学附属機関として設立された背景もあってのことだそうですが、日本発の教育システムが国外で“短期大学学士=Associate Degree”を認められる一方、日本国内では認められないという現実があります。
文科省の関係者は、これまで高専卒業生に学位が与えられなかったことについて「高専は研究や教育機関よりも技術者育成の側面が強く『学位』を授与することについて検討されてこなかったのではないか」と推測します。
会議に参加した現役高専教員からは「こうした課題は高専OBの活躍が今まで以上に国際的になってきたことで近年より表面化してきたのではないか」という意見も出ました。
学位を付与するには法改正などのハードルがあります。学国会高専人会では文科省に対し「高専(本科)卒への学位付与を提案し続けていきたい」としています。
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