広告

高専教員の負担を減らすため「全国共通単位の導入」を 国会高専人会で議論

記事




学校の先生の業務負担が叫ばれて久しいですが、高等専門学校、いわゆる「高専」で働く教員も“多忙”だとされます。

理由の一つとして考えられるのが、高専の授業内容。
学術的な「講義」はもちろん、技術を習得するため“大学の2倍の量”とも言われる「工学実験」を実施。そのため、高専の教員は常に知識をアップデートし、実験の準備やフォローアップまで対応する必要があります。

授業だけではありません。
国内の高専の大半には「学生寮」があり、遠方の学生などはここで生活を送ります。寮を管理する職員もいますが、教員も一緒になってサポートしています。
さらに、学生の卒業研究の指導や、地域の産官学連携プロジェクトに参加することも。加えて業務の傍ら自身の研究に取り組んでおり、その負担はかなり大きいといいます。

こうした状況をなんとか改善できないかと、7月18日に参議院会館で開かれた第2回国会高専人会では、高専教員の負担軽減策の一つとして「全国共通単位の導入」についても議論されました。

国公立、私立あわせて全国に58校ある高専。それぞれ多様な教育プログラムが展開されています。一方で、基礎的な履修は内容が重なる部分も多いのが実情。ここをオンライン開講するなど学校の枠を超えて共通履修を可能にすることで、教員の負担を減らせるのではないかという内容です。
また、産業界と連携した全国共通の単位科目を創設することにより、高専生が最先端技術の講義を受けられるようにしたいという想いもあります。

各校に専門性の高い教員がいるのも高専の特色。「他校の教員の講義を受けたい」と話す学生もいるため「キャンパスが違ってもオンラインで受講することで単位として認めたり、研究等で自由に行き来したりするシステムがあっても良いのでは」といった意見も出ました。

全国で「共通単位」を導入するには課題もあります。
導入に向けた試行として、今年度、全国の高専生が受講できる「産業界と連携した宇宙工学に関するオンライン講座」を開講。100 人を超える参加希望者が集まりましたが、各高専で時間割が異なることから開講時間にライブで参加できる学生は多くありませんでした。

国会高専人会では、こうした状況が共有され「共通単位を導入するには例えば『火曜日の午後を空き枠にする』など、まず全国の高専で履修に関する足並みを揃える必要があるだろう」との指摘が。
また、高専によって定期試験の期間がずれている場合もあることから「定期試験日程の共通化も必要ではないか」という意見も出ました。

海外からも注目を集める「高専」という教育システムをより強固にするためにも、国会高専人会では高専教員の負担軽減策について検討していきたいとしています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました