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ヤングケアラー問題!イルネス・ペアレントの子育て支援は何がある?

何があるのか




片時も目が離せない乳児期、あれもイヤこれもイヤと自我が芽生え始める幼児期、小学生、中学生。

いくつになっても悩みが尽きないのが“子育て”。そんな子育てを、病を抱えながらするとしたら…。

病を抱えながら子育てをする親=”イルネス・ペアレント”を支える取り組みが、いま東京都で広がっています。

立ち上げた女性の思いを聞きました。




「子どもにしてあげられることが少ない」

東京都中央区に拠点を置く「てくてくぴあねっと」。

病を抱えながら子育てをするお父さん・お母さんが悩みを共有できる場をオンライン上で提供するなどしています。

発足させた支援団体「てくてくぴあねっと」

10月に開かれたオンラインの集いでは、親たちが画面越しに悩みを打ち明けました。

「病気になってから親として子どもにしてあげられることが少なくなり、途方もない気持ちが大きい」

「家族や周りに迷惑をかけないよう、自分一人で頑張らないといけない」

自身の経験もとに「同じように悩む人に寄り添いたい」

親たちの話に耳を傾けていたのは、うえやまみかさん(37)。

自身も難病を抱えながら、6歳と2歳の男の子を育てています。

1歳の頃に「若年性特発性関節炎(小児リウマチ)」と診断されたうえやまさん。

幼少期は「ほとんど病院で過ごした」といいます。

薬の開発が進み通院の回数が減ったうえやまさんは、一念発起して地元から遠く離れた東京の企業に就職。

その後、現在の夫と知り合い結婚。子どもを授かりました。

通院の回数が減ったとはいえ、移動には松葉杖が必要。今も関節に炎症が起き、体がひどく痛むこともあります。

こうした体調での子育ては辛いことも多かったと言いますが「子どもたちの笑顔にいつも支えられてきた」と振り返ります。

闘病も子育ても両立させようと日々奮闘する中で、同じような悩みを抱える女性と出会ったうえやまさんは「他にも闘病中の子育てで悩んでいる人がいるかも知れない」と考えるように。

  • ”病を抱えながら子育てをする親”が抱えている苦悩や問題を社会課題として広く認識して欲しい。
  • 自身の経験を生かして親に寄り添いたい。

そんな思いから、昨年11月に支援団体を発足させました。

”病を抱えながら子育てをする人”が求める支援とは

団体では主に3つのサポートを提供しています。

一つが「ピアサポーター」と呼ばれる”病を抱えながらの子育て”経験者が行うサポート。

一対一でじっくりと当事者の相談に乗ります。

また匿名で利用できるコミニュケーションの場も提供。

SNSのチャット機能を利用して行われ、現在約50人が利用しています。

匿名だからこそ気軽に悩みを打ち明けることや情報交換ができるといいます。

そして三つ目が、冒頭で紹介した同じ悩みを持つ親同士がオンラインで意見交換する「オンラインカフェ」。

参加者は「一緒に頑張る仲間がいると知れて心強い」「わかってくれる人がいると知れて前を向けた」と口を揃えます。

こうしたサポートを通じて当事者ネットワークを広げた団体は、親75人に「どんな支援が必要か」アンケートを実施しました。

てくてくぴあねっとfacebookより

すると”相談窓口”や、”外遊びをサポートする公園ボランティア”といった「公的支援が欲しい」という声が半数を占める結果に。

次いで「周囲の理解」「金銭的な支援」を求める声があがりました。

「イルネス・ペアレント」が抱える問題

団体のアンケートからは”病を抱えながら子育てをする人”=「イルネス・ペアレント」が抱える深刻な問題が見えてきます。

みかん
みかん

まず「金銭的な支援」を求める声を紐解きます。

イルネス・ペアレントは病によって休職せざるを得ない状況に陥るなど収入が絶たれている人がいるのはもちろん、子の教育費に加え治療費がかかるため一般的な家庭に比べて毎月の決まった出費が多いことが考えられます。

また、通院時に託児を利用したり、体調不良の日はベビーシッターを利用するなど、子育て費用がより高額になるケースも多いとみられます。

みかん
みかん

次に「公的支援」を求める意見。

中でも特徴的なのが「外遊びをサポートする”公園ボランティア”が欲しい」というもの。

これはイルネス・ペアレントが「子どもと公園へ行っても一緒に走り回ることができない」「遊具から落ちないよう支えることができない」といった悩みを抱えていることを表しています。

自身の負担軽減のためではなく、子どもが他の子と同じように公園でのびのびと遊ぶために支援を望んでいることが伺えます。

さらに”病を抱えながらの子育て”を相談できる窓口や制度がほとんどないとのコメントも数多く寄せられました。

子どもへの支援や、難病患者自身へのサポートはあるものの「子育て中の闘病者」への支援がないことが浮き彫りとなっています。

「ヤングケアラーの数だけ、闘病している親がいるかも」

イルネス・ペアレントが抱える子育ての悩み。それは、子ども自身の悩みと表裏一体かもしれません。

近年社会問題となっている「ヤングケアラー」。

病気や障害のある家族に代わり家事や幼いきょうだいの世話などをしている子どもを指す言葉です。

うえやまさんはヤングケアラーの背後に、イルネス・ペアレントの存在を感じ取っています。

「ヤングケアラーのうち、親が病気だという子どもの数を推測すると全国に10万人とも考えられます。言い換えれば”闘病しながら子育てをしている親”もそれだけいるのではないかと思っています」。

実際、団体が「子どもへの心的影響を心配しているか」についてもアンケートを行ったところ、7割を超える親が「不自由な思いをさせることでの影響」「我慢させている事による影響」を心配しているという結果に。

さらに、うち3割の親からは「実際に子どもの変化を感じ取っている」という意見が寄せられています。

変化の内容としては「子どもが過剰に不安になった」「不登校になった」「顔色を伺ったり気を遣ったりするようになった」「頑張りすぎるようになった」といったことが挙げられました。

イルネス・ペアレントを支援する仕組みを

国は昨年5月「ヤングケアラー支援策」として①早期把握、②相談支援、③家事育児支援、④介護サービスの提供といった大きく分けて4つの支援策を打ち出しました。

なかでも学校が子どもの環境に気づき外部支援につなぐことが必要だとしていますが、ヤングケアラーを学外の支援へ繋いでいない小学校は4割超。

学校現場がアプローチすることが難しいことがわかります。

また、子どもは「ヤングケアラー」と自覚していないケースが多く、自ら相談したり助けを求めることは少ないとされます。

政府は学校などで助けを求めることの大切さを周知していく方針を掲げていますが、疲弊する教育現場にこれまで以上の役割を求めることは負担が大きいのではないかとも考えられます。

「ヤングケアラー支援」のためにも、「イルネス・ペアレント」をサポートする仕組みが広がっていく必要があるのではないでしょうか。

てくてくぴあねっと資料より

うえやまさんが立ち上げた支援団体は、今年11月で設立から1年を迎えます。

設立した11月15日を「闘病子育ての日」と名づけ「闘病も子育ても頑張る親はもちろん、誰もが安心して子育てできる社会を作っていきたい」と今後の活動に意欲を見せています。

■一般社団法人てくてくぴあネット
https://tekutekupeer.com
 →2021年3月7日アンケート結果<第2弾>闘病しながら子育てをする人たちがあったらいいなと思う支援・制度 
 →2021年3月20日アンケート結果<第3弾>子どもへの心理的影響についてのアンケー

■文部科学省発表『ヤングケアラーに関する調査研究について』
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/mext_01458.html
 →ヤングケアラーの数について

https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=102439
 →外部の支援につないでいない(学校内で対応している)」と答えた学校が42.7%

■厚生労働省「多機関・多職種連携によるヤングケアラー支援マニ ュアル 」
https://www.mhlw.go.jp/content/000932685.pdf

■厚生労働省『ヤングケアラーの支援に向けた福祉・介護・医療・教育の連携プロジェクトチーム報告』
https://www.mhlw.go.jp/content/000780549.pdf

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