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7割が「誇りを持てるようになった」自治体職員に聞いた“メディア露出の力”

2025年10月7日


7割が「誇りを持てるようになった」自治体職員に聞いた“メディア露出の力”

目次


    地方企業や自治体の広報活動を支援する株式会社Shireru(本社:神奈川県横浜市、代表取締役:山田みかん)では、「政策プロモーション」によって自治体職員の心境や働き方が変化するのか、基礎自治体の職員44人を対象に調査しました。

    その結果、自身が担当する事業がメディアに取り上げられることで73.2%の職員が「業務に誇りを持てるようになった」と感じていることが分かりました。



    「政策を発信することの意義に関する自治体職員アンケート」の結果要旨

    この調査は、当社の「自治体プレスリリース講座」を受講した職員44人に対して実施しました。その結果、9割を超える42人が広報活動を通して事業のメディア露出を経験し、うち約7割が「メディア露出によって業務に誇りを持てるようになった」と回答しました。

    アンケート結果から、観光などに限らず、福祉や危機管理の事業でも、適切な広報活動を行うことで取材につながることが判明。また取材を受けることで、政策が他自治体に広がるきっかけになることや、職員が自身の業務を肯定できることも分かりました。

    総務省によれば、地方公務員の受験者数は10年で約28%減少しています(※1)。また、地方公務員の自己都合による退職者数は10年で増加傾向にあり、特に40歳未満の若手・中堅層の早期退職が多い傾向が示されています(※2)。

    こうした背景から当社では、自治体広報が「まちの宣伝」にとどまらず、職員の業務への肯定感を高め、職場への愛着にもつながるのではないかと調査を開始。今回の結果となりました。

    税収増や移住促進などの観点で語られることの多い「自治体広報」ですが、自治体職員のエンゲージメント向上といった観点からも非常に重要な活動であり、当社では今後も自治体の情報発信のサポートに取り組んでまいります。


    1. 総務省「地方公務員における働き方改革に係る状況―令和5年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果の概要―」
      https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei11_02000238.html
    2. 総務省「令和5年度地方公務員の退職状況等調査」
      https://www.soumu.go.jp/main_content/000999294.pdf

    調査結果詳細

    ①広報活動に取り組み、取材につながった職員は95.5%

    調査は、当社が実施する「自治体プレスリリース講座」を受講した職員44人に実施。その結果、プレスリリースなどの広報活動を行い実際に取材につながった職員は42人、率にして実に95.5%という結果になりました。

    職員の所属部署は、一般的に取材されやすいとされる「観光」や「まちづくり」だけでなく「危機管理」や「林業」、「福祉」と多様だったことから、適切な広報活動に取り組むことで政策の取材率向上につながることが分かりました。

    また半数以上の22人が3社以上から取材されており、それぞれの政策に応じた広報をすることで複数社のメディア取材を獲得できる可能性が高いことも判明しました。


    ②約半数の事業が市内外から問い合わせ増加

    メディア露出後に市民から問い合わせや声をかけられる回数が増えたと回答したのは21人と半数。イベント開催時に「新聞を見て来た」という参加者がいたケースや、市内の事業関係者から新たな政策について反応があったという回答がありました。

    一方、市外や他の自治体職員から問い合わせが増えたと回答した職員は19人でした。問い合わせ内容としては講演依頼や視察依頼といったものが多く、他自治体から「なぜたくさん新聞で取り上げられるのか」と広報活動そのものを問われたケースもありました。

    市民からの問い合わせが「とても増えた」と回答したのが1人だったのに対し、市外からの問い合わせが「とても増えた」のは5人と多かったことから、メディア露出をすることで「市外」からの問い合わせがより増えることも分かりました。



    ③メディア露出は庁舎内での会話を増やすカンフル剤に

    メディア露出後に課内での会話が増えたか、他課から声かけされることが増えたかという問いにはいずれも14人、33.3%の職員が「とても増えた」「増えた」と回答しました。それ以外は「変わらない」「分からない」との回答で、「減った」という回答はありませんでした。メディア露出が庁舎内でのコミュニケーションを活発にするきっかけとなっていることが伺えます。

    具体的には「掲載に気づいた職員が他の職員に情報を共有して喜びを分かち合う」といったコミュニケーションや、メディア掲載した内容について上司から質問を受けたことで「気にかけてもらっていると感じる」という声がありました。

    また「直接事業に関わらない課の職員が、事業に取り組んでくれるようになった」という意見や、「他部署との連携事業をみて「あんな感じで(うちの部署とも連携)できませんか」という相談が増えた」と事業創出に繋がる可能性を感じた人もいました。



    ④「誇り」を持てた職員は7割、「認められた」との思いからモチベーションも
    向上

    メディア露出による心理的変化もありました。露出後、家族や知人へ仕事を説明する際に「誇りを持てるようになった」と回答したのは31人で73.8%に上りました。「認められた」と感じた職員も26人と半数以上でした。モチベーションに関しては「元々高い」といった声も多く「変わらない」との回答が半数を占めましたが、3割の職員が「モチベーションが向上した」と回答しました。

    こうした心理的変化の理由として、以下のような意見がありました。

    <自由回答より一部抜粋> ※一部()で内容を補完しています

    • 自分のしている取り組みは間違いでなかったと思えるようになった
    • 地味なソフト事業でも取材やその反響が多少なりともある事で、自分の不安が少しだけ(減り)自信と安心感の醸成につながった。
    • 認知症という大きな地域課題について、新聞記事を通して考える人がいると想像すると感慨深い。
    • (記事を)見た方から「イベントに行きたい」と言ってもらえたことで、地域に貢献できたと思えるようになりました。
    • (メディア露出したことで)他の自治体にも同事業が波及していくさまを最前線で見守れる体験の貴重さを感じた。
    • 担当者として名前が表記されて紹介されたので、より一層業務に一生懸命取り組んでいきたいと思った

    ⑤エンゲージメントにも効果、市への愛着が増える

    メディア露出後、市への愛着が増えたかという問いには25人、59.5%が「増えた」と回答。「とても増えた」と回答した職員も5人いました。さらに「今後も市で働き続けたいという気持ちに変化はあったか」との問いには、変わらないが多数を占めたものの、思いを強くした人が15人、35.7%でした。

    自治体職員の多くは地域への関心が比較的高いために就職したものと考えられますが、露出することで愛着がさらに増すことが判明。広報によってエンゲージメントも向上する可能性を示唆する結果になりました。



    ⑥「評価されづらい」と感じている職員は7割超、メディア露出に活路か

    業務について評価されづらいと感じる瞬間があるかとの問いには、32人、72.7%の職員が「感じる瞬間がある」と回答。

    「真面目にやっていないと言われる、つい先週も言われた」という悲痛な声や、「定量的な効果を示しにくい」、「専門性が高く理解されづらい」、「自治体として数字で表せない事業の必要性が理解されない、費用対効果を求められる」という意見が寄せられました。

    一方で、こうした状況はメディア露出することで変化すると考える職員が7割以上おり、取材を通して第三者からの評価を得ることは、職員自身の業務内容の肯定につながるのではないかとみられます。


    ⑦「行政は主婦・主夫のような仕事」、政策をつぶさに発信すべし

    自治体が広報する内容は「観光」や「まちづくり」が大半を占めています。しかし福祉や農業などの「政策」を発信することも、自治体運営には必要だとする職員は39人、88.6%にものぼりました。

    政策を発信していくことの意義については、以下のような意見が寄せられました。

    <自由回答より一部抜粋> ※一部()で内容を補完しています

    • 行政の仕事は主婦(主夫)のような仕事だと個人的に思っており、重要な仕事だがそれが理解されない、感謝されにくいものであると感じている。感謝されたいわけではないが、住民の暮らしを縁の下で支えている行政の仕事や、よりよいまちにしたいと思いさまざまな政策を実施している自治体職員の声を聞いてみたい。
    • 仕事がうまくいかないと感じる担当者の多くが孤独感を感じている <略> (メディア露出することで)社会に必要とされていると感じることができ、孤独感が薄れ、自分の仕事に誇りが持てるのではないか


    今こそ「政策プロモーション」に取り組もう!

    当社では、創業前の2018年より様々な自治体広報の相談に乗ってまいりました。広報誌の書き方、プレスリリース作成からSNS運用まで。元テレビ記者の視点から「地域に届ける情報発信」「全国に広がる情報発信」を講座やワークショップ、相談会など様々な形式で支援しております。


    調査概要

    ・調査機関:株式会社Shireru(山田みかん)
    ・期間:2025年8月30日〜同年9月16日
    ・調査対象:岐阜県内の基礎自治体職員 44名
    ・調査方法:Google フォームにて回答
    ・設問:
    1:所属する課の名前を教えてください
    2:情報発信した事業内容について教えてください
    3:取材を受けたメディアの数を教えてください
    4:取材を受けたメディア名を教えてください、把握している限りの全ての社名にチェックを入れてください *
    5:メディア露出した後、地元住民から事業について声をかけられること・問い合わせされることが増えましたか *
    6:5について、どのような場面でそう感じましたか(自由回答)
    7:メディア露出した後、市外の方や他の自治体職員から事業について声をかけられること・問い合わせされることが増えましたか *
    8:7について、どのような場面でそう感じましたか(自由回答)
    9:メディア露出した後、他課の職員から事業について声をかけられること・問い合わせされることが増えましたか *
    10:9について、どのような場面でそう感じましたか(自由回答)
    11:メディア露出した後、課内で事業に関する会話は増えましたか *
    12:11について、どのような場面でそう感じましたか(自由回答)
    13:メディア露出した後、事業や仕事に対してご自身のモチベーションは上がりましたか *
    14:13の回答について、どのように変化したか具体的に教えてください *
    15:メディアに取り上げられることで、ご自身の仕事が「認められた」と感じましたか *
    16:メディアに取り上げられることで、ご家族や友人などに仕事を説明するとき、誇りを持てるようになりましたか *
    17:メディア露出した後、飛騨市に対する愛着は増えましたか *
    18:今回の経験を通じて、今後も飛騨市で働き続けたいという気持ちに変化はありましたか
    19:複数ある業務のうち、広報活動の優先度はどの程度ですか? *
    20:自治体職員の業務について、住民や外部から「評価されづらい」と感じる瞬間がありますか *
    21:20について、どのような場面でそう感じますか(自由回答)
    22:20の気持ちはメディアから取材されることによって、変化する可能性があると思いますか *
    23:政策を積極的に発信することは、自治体運営にとって必要だと思いますか *
    24:政策を情報発信することについて、ご意見等あれば教えてください(自由回答)






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